vol.85 宮澤賢治原画展2016



若手作家による新しい表現展
アートに何ができるか

宮澤賢治生誕120年記念

宮澤賢治原画展2016

期間 : 2016年8月20日(土)21日(日)
         27日(土)28日(日)
         13 : 00〜18 : 00(最終日は17:00まで)

会場:art gallery, on the wind

電子書籍発行:晩聲社
監修:岩崎進(元朝日新聞読書編集長)
猿渡紀代子 (横浜美術館・大佛次郎記念館 特任研究員 )
企画:on the wind

120年の時を超えて現代の若い作家が自由でのびやかに描いた「宮澤賢治・電子書籍」の原画展を開催いたします。女子美術大学で真摯に切磋琢磨し活動している作家たちの作品展です。

展示作品
「よだかの星」高師悠香里(2012年女子美術大学芸術学部絵画学科洋画専攻卒業)
「セロ弾きのゴーシュ」蝋山翠(2011年 女子美術大学大学院美術研究科修士課程美術専攻日本画研究領域修了)
「雨ニモマケズ」梶浦奈緒子(2011年 女子美術大学大学院美術研究科修士課程美術専攻日本画研究領域修了)
 
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「宮澤賢治原画展2016」企画趣旨
2008年若いアーティストを紹介することを目的にart gallery, on the windを横浜にオープン、2011〜12年にかけて「絵本とマンガの創作教室」を開き、長年絵本の編集経験のある上野明雄氏、伊藤史織氏、榎本司郎氏から挿絵について手ほどきを受けました。
若い人に自由でのびやかに描いてほしいという願いをこめて、その教室に熱心に参加した人の中で、宮澤賢治の童話の挿絵を描くことに挑戦したいという女子美術大学で学んだ若い作家による電子書籍の企画をたて、発行は晩聲社から、監修として岩崎進氏と猿渡紀代子氏に指導をお願いしました。
賢治は亡くなる時に「『法華経』を千部印刷して知己友人にわけて下さい。『私の一生のしごとは、このお経をあなたのお手もとにおとどけすることでした。あなたが仏さまの心にふれて、一番よい、正しい道に入られますように』ということを書いて下さい。」と遺言したそうです。賢治の作品世界に通底する「祈り」を表現し、賢治に捧げる讃歌として「宮澤賢治・電子書籍」を上梓いたします。
 
 
「生き続ける宮澤賢治」の証として
生誕120年と聞いて、ピンと来るような来ないような。
残された作品は、後続世代の自分の心にもすっと入ってくる――そう考える人はたくさんいる。そのうえ、読んでいなくても大体の内容はわかると思える場合もあり、作品の浸透力は強い。宮澤賢治はこうして今も生きている。
賢治の文字にオリジナル挿画を加えたあまたの作品群に、今回、新たなシリーズが加わった。描いたのは30代以下の女性美術家たちだ。今回リリースの3作品は、作画するうえで時代考証的な問題は少なかったようだ。とはいえ、「よだか」の醜さをどう描くかに悩み(仕上がりは、ほどほどに情けない感じがでていると思う)、「雨ニモ負ケズ」の言葉が自分の体内にしみ込んだかのように臨書し(文字の上下の山塊のような「枠」の造形と質感がいい)、「ゴーシュ」の、少し屈折がみられる人柄を、あまり表情に凝らずにあらわし・・・と、完成までにそれぞれの曲折があった。こういうことが積み重なって、作品は長い命を保っていくのだろう。このシリーズで、生きることの細部を大事にした賢治を、今一度かみしめていただければ幸いである。

岩崎進

 
 
「宮澤賢治に心寄せる三人の若手画家たち」
高師悠香里が描いた「よだかの星」は、必死の形相をして小さい体で空を駆けのぼる。赤く染まった夕焼け空、夜露をしたたらせるシダの葉の透明感、星になったよだかがどこかで瞬いている広大な宇宙の深い青。羽毛の線描とともに、色彩の変化を味わうことができる。
「セロ弾きのゴーシュ」に挿絵を寄せた蝋山翠は、次々と登場する動物たちの無心な存在感を描き出す。人間社会の周縁にあって実は人間を支えている自然界の力を、動物たちのあどけない表情の中に込めたのだろうか。
宮澤賢治自筆の詩「雨ニモマケズ」をそのまま使った梶浦奈緒子は、そのカリグラフィを覆い、追いかけるかのように、日本画の顔料と筆によって独自の形を連ね重ねている。たゆみなく続けてきた画材研究が賢治の詩と出会うことによって、ひとつの大きな実を結んだ。

猿渡紀代子

 
 
宮澤賢治に捧げる音楽会(同時開催)
8月28日(日) 14:00〜(無料・先着15名)
指導:鈴木誠一郎
演奏:フェリス女学院大学音楽学部生